しのばずの池に
  臨める楼上に 
   夜を徹して
  この一巻を
  編みなしし 
これは翻訳詩集「於母影(おもかげ)」脱稿を記念した時の所感だそうです。 
 
 
 
              場所:佐倉市飯野町、湖畔荘庭 
              情報提供者:唐辛子 紋次郎 さん 
 
 
 荒園幾畝(ボウ)寒沙に接す 
  処々村人緑芽を養う 
 芳烈たる其香淡き其の色 
  菊花凋(シボ)みし後茶花を見る 
 
 雨気車を圧して人語湿(ウルオ)い 
  車中客(カク)有り暗に愁いを催す 
 阿爺(アヤ)昔日辛苦を嘗め 
  此地単身笈を負いて来る
 
  
鴎外は漢詩を旧佐倉藩士・依田学海
(「ヰタ・セクスアリス」、「百物語」に登場)
に習いました。その鴎外が明治15年の冬
來倉して創った詩の一部と思われます。
 
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